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分類とは?/ セントラルファイナンス

[ 548] 「国際生活機能分類−国際障害分類改訂版−」(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について
[引用サイト]  http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/08/h0805-1.html

厚生労働省では、ICFの考え方の普及及び多方面で活用されることを目的として、ICFの日本語訳である「国際生活機能分類−国際障害分類改訂版−」を作成し、厚生労働省ホームページ上での公表(8月5日より掲載予定)することとした。
ICFは、人間の生活機能と障害に関して、アルファベットと数字を組み合わせた方式で分類するものであり、人間の生活機能と障害について「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3つの次元及び「環境因子」等の影響を及ぼす因子で構成されており、約1,500項目に分類されている(ホームページ上では、第2レベルまでの分類を掲載)。
これまでの「ICIDH」が身体機能の障害による生活機能の障害(社会的不利を分類するという考え方が中心であったのに対し、ICFはこれらの環境因子という観点を加え、例えば、バリアフリー等の環境を評価できるように構成されている。このような考え方は、今後、障害者はもとより、全国民の保健・医療・福祉サービス、社会システムや技術のあり方の方向性を示唆しているものと考えられる。
ICFは、英文で表記されているため、わが国で広く活用していくためには日本語で表現することが必要である。このため、平成13年6月より厚生労働省において、「国際障害分類の仮訳作成のための検討会(座長:仲村英一氏)」を設置し、分野別作業班による日本語訳を進めるとともに、よりわかりやすい表現とするため各方面からの意見を聴く等の作業を行ってきた。
○ 障害や疾病を持った人やその家族、保健・医療・福祉等の幅広い分野の従事者が、ICFを用いることにより、障害や疾病の状態についての共通理解を持つことができる。
○ 様々な障害者に向けたサービスを提供する施設や機関などで行われるサービスの計画や評価、記録などのために実際的な手段を提供することができる。
などが期待されているが、具体的な活用のあり方については、現在、WHOにおいても検討が進められているところであり、我が国においても研究事業等をとおして、効果的な活用方策の検討を行うこととしている。
ICFは,健康の諸側面に関してWHOが開発した「国際分類ファミリー」に属している。WHO国際分類ファミリーは,健康に関する幅広い情報(例:診断,生活機能と障害,保健サービスの受診理由)をコード化するための枠組みを提供し,健康と保健に関する諸専門分野および諸科学分野にまたがる国際的な情報交換を可能とする標準的な共通言語を提供するものである。
WHO国際分類ファミリーは,国際的背景において集団の健康を記述し比較するための価値の高いツール(道具)である。死亡率に関する情報(ICD-10による)と,健康に関連して起こるさまざまな状況についての情報(ICFによる)とを統合することにより,集団の健康の総括的指標を作ることもでき,それは集団の健康状態とその分布をモニターしたり,さまざまな死因や病気がどのようにそれに影響しているのかを評価するのに役立つであろう。
ICFは「疾病の結果(帰結)」の分類(1980年版)から「健康の構成要素」の分類へと移行してきた。「健康の構成要素」とは健康を構成するものを明らかにするものであり,一方「結果(consequences)」は病気やその他の健康状態の結果として起こりうる影響に焦点をあてるものである。このようにICFは原因となる病気については中立的な立場をとっており,調査者は適切な科学的方法を用いて因果関係の推測を行うことができる。同様にこのアプローチは,「健康の決定因子」や「危険因子」を求めるアプローチとも異なるものである。しかしながら,決定因子や危険因子の研究を助けるために,ICFには個人が生活している背景を示す環境因子のリストが含まれている。
ICFは多くの目的に用いられうる分類であり,さまざまな専門分野や異なった領域で役立つことを目指している。ICFの目的を個別にみると,以下のとおりである。
・健康状況と健康関連状況とを表現するための共通言語を確立し,それによって,障害のある人々を含む,保健医療従事者,研究者,政策立案者,一般市民などのさまざまな利用者間のコミュニケーションを改善すること。
上記の目的は相互に関連している。それは,ICFの必要性と使用のためには,異なる文化圏での保健政策,サービスの質の保証,効果評価などに,さまざまな消費者が利用できるような,有意義で実用的なシステムの構築が求められているからである。
・臨床ツールとして:ニーズの評価,特定の健康状態と治療法との対応,職業評価,リハビリテーション上の評価,結果の評価。
ICFは本来,健康分類および健康関連分類であるが,保険,社会保障,労働,教育,経済,社会政策,立法,環境整備のような他の領域でも用いられる。ICFは国連社会分類の1つとして認められ,また障害者の機会均等化に関する標準規則7)の中で取りあげられ,それを組み入れている。このようにICFは,国際的な人権に関する諸規則・方針や,各国の法令を実施するための適切な手段を提供する。
ICFは,例えば社会保障や医療の評価,地域・国・国際レベルでの住民実態調査といったさまざまな場面で,幅広く適用するのに有用である。ICFが提供する情報整理の概念的枠組みは,予防と健康増進を含む個人的な保健ケア,および社会的障壁の除去や軽減による参加促進,社会的支援の推進に応用できる。また保健システムの研究においても,評価と政策立案の両面で活用が可能である。
分類は,何を分類するのかが明確でなければならない。つまり,分類が扱う範囲,その視野,分類の単位,分類の構成,各項目の相互関係などである。ICFの基本的な特徴について,以下に説明する。
ICFは,人の健康のすべての側面と,安寧(well-being)のうち健康に関連する構成要素のいくつかを扱うものであり,それらを健康領域および健康関連領域として記述する8)。ICFは広い意味での健康の範囲にとどまるものであり,社会経済的要因によってもたらされるような,健康とは無関係な状況については扱わない。例えば,人種,性別(ジェンダー),宗教,その他の社会経済的特徴のために現環境での課題の遂行において制約を受ける場合があるが,これらはICFで分類される健康関連の参加制約ではない。
ICFは,障害のある人だけに関するものとの誤解が広まっているが,ICFは全ての人に関する分類である。あらゆる健康状態に関連した健康状況や健康関連状況はICFによって記述することが可能である。つまり,ICFの対象範囲は普遍的である9)。
ICFは,人の生活機能と障害に関する状況の記述を可能にし,情報を組織化する枠組みとして役立つ。ICFは情報を,有意義な,相互に関連した,容易に利用しうるものとして構成する。
身体の構成要素には2つの分類がある。心身機能と身体構造である。両分類の章立ては,身体系に従って構成されている。
活動と参加の構成要素は,個人的視点および社会的観点からみた生活機能のさまざまな側面を示す全領域をカバーしている。
環境因子のリストは背景因子の第1の構成要素をなしている。環境因子は,生活機能と障害の全ての構成要素に影響を及ぼすものであり,個人の最も身近な環境から,全般的な環境へと向かうように構成されている。
個人因子も背景因子の構成要素である。しかし,社会的・文化的に大きな相違があるために,ICFでは分類されていない。
生活機能と障害のこれらの構成要素は,独立しているが互いに関連した4つの構成概念(constructs)によって評価され,それは具体的には評価点を用いてなされる。心身機能・構造は,生理的システムや解剖学的構造の変化によって評価される。活動と参加については,2つの構成概念(能力と実行状況)によって評価される(4-2参照)。
人の生活機能と障害は,健康状態(病気〈疾病〉,変調,傷害,ケガなど)と背景因子とのダイナミックな相互作用10)と考えられる。前述したように,背景因子には個人因子と環境因子の2つがある。ICFは本分類の基本的構成要素である環境因子の包括的なリストを含んでいる。環境因子は生活機能と障害のあらゆる構成要素と相互に作用しあう。環境因子の基本的な構成概念とは,物的な環境や社会的環境,人々の社会的な態度による環境による,促進的あるいは阻害的な影響力である。
ICFは健康状況と健康関連状況とを分類する。したがって分類の単位は,健康領域と健康関連領域における各種のカテゴリーである。ICFは人間を分類単位としていないことに留意することが大切である。すなわち,ICFは人々を分類するものではなく,それぞれの人の状況を,健康領域や健康関連領域の中で整理して記述するものである。さらに,この記述は常に環境因子や個人因子との関連においてなされるのである。
本書に収められているICFの完全版は,第4レベルまでの詳細にわたる分類を示している。この4つのレベルは,より高次のレベル(第2レベルのすべての領域を含む)に集約することができる。第2レベルまでの体系はICFの短縮版としても提供されている。
これらの概念の概要は表1の通りである。更に詳しい説明が5-1.に具体的な用語で示されている。表1に示すように:
・各構成要素はさまざまな領域からなり,それぞれの領域はカテゴリーに分かれ,それらが分類の単位となる。個人の健康状況や健康関連状況は適切なカテゴリーコードを選び,それに評価点(qualifiers)をつけることによって記載される。評価点とは数字のコードであり,そのカテゴリーにおける生活機能や障害の程度または大きさ,あるいは環境因子が促進因子または阻害因子として作用する程度を明らかにする。
機能障害(構造障害を含む)とは,著しい変異や喪失などといった,心身機能または身体構造上の問題である。
(1)心身機能と身体構造は,2つの別々のセクションに分けて分類されている。これら2つの分類は,並列的に使うようにできている。例えば,心身機能に「視覚機能」のような基本的な感覚を含み,それに対応する身体構造として「目および関連部位の構造」がある。
(2)身体とは人体構造の全てを指し,脳とその機能である心も含まれる。したがって精神的(または心理的)機能は心身機能に含まれる。
(4)構造面の障害は,奇形・欠陥・欠損,その他の身体構造の著しい変異を含む。機能障害は組織・細胞・細胞内器官・分子レベルの生物学的な知識に合わせて概念化されている。しかし,これらのレベルは実用的な観点からICFには含まれていない13)。この部分の現在の分類は,機能障害の生物学的な基礎に基づいており,今後,細胞や分子レベルにまで分類を拡大する余地はあろう。医療分野の利用者にとって,機能障害はその基礎をなす病理と同じではなく,その病理が発現したものであるという点を注意することが大切である。
(5)機能障害は,身体とその機能の医学的・生物学的状態に関する,一般に認められた一般人口の標準からの偏位を表すものである。何を機能障害とするかの定義は,本来,心身機能・構造を判断する資格を有するものによって,それらの標準に従って行われる。
(6)機能障害には,一時的なもの,恒久的なもの,進行するもの,回復していくもの,不変のもの,さらに断続的(間歇的)なもの,連続的なものがありうる。集団の規範からの逸脱には,軽いものも重いものも,時間とともに変動するものもある。それらの特徴は,主に小数点以下の評価点コードによって,記述され把握される。
(7)機能障害は,その病因やその発生経過に依存するものではない。例えば,失明や手足の喪失は遺伝的異常によっても外傷によっても起こりうる。機能障害の存在は,必然的になんらかの原因を暗示するが,その原因だけでは,結果としての機能障害を説明するには十分でないこともありうる。また,機能障害がある場合には,心身機能または身体構造の異常があるわけだが,そのような異常はさまざまな病気,変調,その他の生理的状態のどれにでも関連しうるものである。
(8)機能障害は,ある健康状態の一部であったり,そのひとつの表れであったりする。しかし必ずしも病気が存在しているとか,その人を病人とみなすべきだということを示すものではない。
(9)機能障害は,変調や病気よりも範囲が広く包括的である。例えば,一下肢の喪失は構造障害であるが,変調や病気ではない。
(10)ある機能障害が原因となって,他の機能障害をもたらすことがある。例えば,筋力低下が運動機能を障害したり,心機能が肺機能の低下に関連したり,知覚障害が思考機能に関連したりすることもある。
(11)心身機能・構造のカテゴリーとICD-10のカテゴリーのいくつかは,特に症状と徴候に関して重複しているように見える。しかしこの2つの分類は目的が異なる。
ICD-10は,有病率とサービス利用を記述するための特定の章の中で症状を分類しており,ICFでは心身機能の一部としてそれらを示して,予防や患者ニーズの把握のために用いることができるようにしている。もっとも重要なことは,ICFでは心身機能・構造の分類が,活動や参加のカテゴリーとともに使うものとして作られていることである。
(13)環境因子は心身機能と相互に関連する。例えば,空気の質と呼吸,光と視覚,音と聴覚,気を散らすような刺激と注意力,床面の性状とバランスの保持,外気温と体温調節といった相互作用がある。
(1)活動と参加の領域は,単一のリストとして示されており,それは「注意して視ること」や「基本的学習」から,「対人関係」や「雇用」といったような複雑な領域にまでいたる,全ての生活・人生領域をカバーしている。このリストの構成要素は,(a)「活動」,(p)「参加」,または両方を示すために用いることができる。これらの領域は,実行状況と能力の2つの評価点によって評価される。したがってこのリストから集計された情報は,重複や不要データのない一括表として示される(表2参照)。
(2)実行状況(performance)の評価点とは,個人が現在の環境のもとで行っている活動/参加を表すものである。現在の環境は社会的状況を含むため,実行状況は,人々の実際生活の背景における「生活・人生場面への関わり」あるいは「生活経験」としても理解することができる14)。この背景には,環境因子,すなわち「環境因子」の分類を用いてコード化できる,物的・社会的・態度的などの全ての側面が含まれている。
(3)能力(capacity)の評価点とは,ある課題や行為を遂行する個人の能力を表すものである。この構成概念は,ある領域についてある時点で達成することができる最高の生活機能レベルを示すことを目的としている。個人の完全な能力を評価するためには,異なる環境が個人の能力に対してもつさまざまな影響を中立化させるような「標準化された」環境をもつことが必要であろう。この「標準化された」環境とは,(a)テスト場面において能力評価のために通常用いられている実際の環境,または(b)それが不可能な場合,画一的な影響を有すると想定することができる仮想的な環境である。この環境は「画一的」(uniform)あるいは「標準的」(standard)環境とよばれる。したがって,能力は環境により調整された個人の能力を反映する。この調整は,国際的な比較を行うために世界中の全ての国の全ての人について同じでなければならない。この画一的あるいは標準的な環境の特徴は環境因子の分類を用いてコード化することができる。能力と実行状況の間のギャップは現在の環境と画一的な環境の影響の差を反映し,したがって,実行状況を改善するために個人の環境に対して何をなすべきかについての有用な手引きを提供する。
(4)能力と実行状況の評価点はいずれも,福祉用具や人的支援をともなう場合と,ともなわない場合の両方について用いることができる。福祉用具も人的支援も機能障害を消し去りはしないが,特定の領域の生活機能における諸制限を取り除くことができる。このような様式のコード化は特に個人の生活機能が福祉用具のない場合には,どの程度制限されるかを明らかにするために有用である(付録2のコード化のガイドライン参照)。
(5)これらの領域における困難性や問題は,人がこれらの領域における生活機能を行うやり方の質的または量的な変更が生じたときに起こりうる。制限や制約は一般に認められた一般人口の標準と比較して評価される。ある個人の能力と実行状況を比較すべき標準や規範とは,同様の健康状態(病気,変調,傷害など)にない人の能力や実行状況である。制限や制約は,観察されている実行状況と期待されている実行状況との間の解離を示す。期待されている実行状況とは,その集団における基準であり,特定の健康状態にない人々が経験している状況である。同じ規範が能力の評価点についても用いられており,実行状況を改善するために個人の環境に対して何をなすべきかについて推測することができる。
(6)実行状況に関して,個人に機能障害がない場合でさえ,社会環境が原因となって問題が生じることがある。例えば,症状がなく発病もしていないHIV陽性者や,ある病気になりやすい遺伝的素因をもつ人が,機能障害がなく,十分な働く能力があっても,サービスの利用を拒否されたり,差別,または偏見のために働くことができないような場合である。
(7)活動と参加の分類の各領域別に,「活動」と「参加」とを区別することは困難である。同様に,各領域別に「個人」と「社会」の観点を区別しようとすることも,国際的な多様性と,各専門職間,また各理論的枠組み間でのアプローチの相違により可能ではなかった。そのため,ICFでは単一のリストを用意し,利用者が彼ら自身の操作的な方法で活動(A)と参加(P)とを区別して使用できるようにした。これは付録3において更に説明されている。それを行う可能な方法は4つある。
(a)個人的:家庭や職場,学校などの場面を含む個人にとって身近な環境。人が直接接触するような物的・物質的な環境や,家族,知人,仲間,よく知らない人などの他者との直接的な接触を含む。
(b)社会的:コミュニティーや社会における公式または非公式な社会構造,サービス,全般的なアプローチ,または制度であり,個人に影響を与えるもの。これは就労環境,地域活動,政府機関,コミュニケーションと交通のサービス,非公式な社会ネットワーク,更に法律,規定,公式・非公式な規則,人々の態度,イデオロギーなどに関連する組織やサービスを含む。
(2)環境因子は,心身機能,身体構造,活動,参加といった構成要素と相互作用する。各構成要素について,相互作用の性質と程度は将来の科学的な研究により解明されるべきである。障害は,個人の健康状態と個人因子間の複雑な関係の結果として,またその個人が生活している状況を示す外部因子の結果として特徴づけられる。このような関係のために,異なった環境はある健康状態にある同一の人に対して,非常に異なった影響を及ぼしうる。阻害因子を含んでいたり促進因子のない環境は,個人の実行状況を制限するであろうし,より促進的な環境はその実行状況を向上させるであろう。社会は個人の実行状況を,阻害因子を作り出すこと(例:利用できない建物)で,あるいは促進因子を供給しないこと(例:福祉用具が利用できないこと)で妨げる可能性がある。
個人因子とは,個人の人生や生活の特別な背景であり,健康状態や健康状況以外のその人の特徴からなる。これには性別,人種,年齢,その他の健康状態,体力,ライフスタイル,習慣,生育歴,困難への対処方法,社会的背景,教育歴,職業,過去および現在の経験(過去や現在の人生の出来事),全体的な行動様式,性格,個人の心理的資質,その他の特質などが含まれるであろうし,これらの全部または一部が,どのレベルの障害においても一定の役割をもちうる。個人因子はICFには分類として含まれていないが,その関与を示すために図1には含まれている。この因子の関与は,さまざまな介入の結果にも影響しうる。
ICFは分類であり,生活機能や障害の「過程」をモデル化するものではない。しかし,ICFはさまざまな構成概念や領域を位置づける手段を提供することによって,過程の記述のためにも役立つものである。ICFが提供するのは,相互作用的で発展的な過程としての,生活機能と障害の分類への多角的アプローチである。これは利用者に「建築材料」を提供するものであり,誰でもこれを使ってモデルを作ったり,この過程を異なった側面から研究したりすることができる。この意味で,ICFは一種の言語とみなすことができる。それを用いて作られる文章の内容は,利用者の創造性と科学的志向性によって違ってくる。さまざまな構成要素間の相互作用についての現在の理解をよりよく視覚化するために,図1に示す図式が役立つであろう15)。
この図式では,ある特定の領域における個人の生活機能は健康状態と背景因子(すなわち,環境因子と個人因子)との間の,相互作用あるいは複合的な関係とみなされる。これらの各要素の間にはダイナミックな相互関係が存在するため,1つの要素に介入するとその他の1つまたは複数の要素を変化させる可能性がある。これらの相互関係は特定のものであり,必ずしも常に予測可能な一対一の関係ではない。相互作用は双方向性である。すなわち障害の結果により,健康状態それ自体が変化することすらある。機能障害から能力の制限を推定したり,活動制限から参加の制約を推定することは,しばしば理にかなったことと思われるかもしれない。しかし,これらの構成要素に関するデータを別々に収集し,その後にそれらの間の関連や因果関係について研究することが重要である。健康に関する状況をすべて記載するのであれば,すべての構成要素が有用である。例えば,
・機能障害(構造障害を含む)があるが,能力の制限はない場合(例:ハンセン病で外観を損じても,個人の能力にはなんらの影響を及ぼさない場合)。
・実行状況上の問題や能力の制限があるが,明らかな機能障害(構造障害を含む)がない場合(例:いろいろな病気の場合にみられる日常生活の実行状況の減少)。
・実行状況上の問題をもつが,機能障害も,能力の制限もない場合(例:HIV陽性の人,精神障害回復者の,対人関係や職場での偏見や差別への直面)。
・介助なしでは能力の制限があるが,現在の環境のもとでは実行状況上の問題はない場合(例:移動の制限のある人が移動のための福祉用具を社会から提供されている場合)。
・逆方向の影響がある程度ある場合(例:手足を使わないことが筋萎縮の原因となる場合,施設入所が社会生活技能の喪失につながる場合)。
図1に示した現在の概念枠組みには,障害過程における背景因子(環境因子と個人因子)の役割が示されている。これらの背景因子は,ある健康状態にある人と相互作用して,その人の生活機能の水準と程度を決定する。環境因子は,個人にとって外部のもの(例:社会の態度,建築物の特徴,法制度)で,環境因子の項で分類されている。一方,個人因子はICFの今回の版では分類されていない。個人因子には,性別,人種,年齢,体力,ライフスタイル,習慣,困難への対処方法,その他同様の因子が含まれている。これらの評価は必要に応じて利用者に任されている。
障害と生活機能の理解と説明のために,さまざまな概念モデル16)が提案されてきた。それらは「医学モデル」対「社会モデル」という弁証法で表現されうる。医学モデルでは,障害という現象を個人の問題としてとらえ,病気・外傷やその他の健康状態から直接的に生じるものであり,専門職による個別的な治療というかたちでの医療を必要とするものとみる。障害への対処は,治癒あるいは個人のよりよい適応と行動変容を目標になされる。主な課題は医療であり,政治的なレベルでは,保健ケア政策の修正や改革が主要な対応となる。一方,社会モデルでは障害を主として社会によって作られた問題とみなし,基本的に障害のある人の社会への完全な統合の問題としてみる。障害は個人に帰属するものではなく,諸状態の集合体であり,その多くが社会環境によって作り出されたものであるとされる。したがって,この問題に取り組むには社会的行動が求められ,障害のある人の社会生活の全分野への完全参加に必要な環境の変更を社会全体の共同責任とする。したがって,問題なのは社会変化を求める態度上または思想上の課題であり,政治的なレベルにおいては人権問題とされる。このモデルでは,障害は政治的問題となる。
ICFはこれらの2つの対立するモデルの統合に基づいている。生活機能のさまざまな観点の統合をはかる上で,「生物・心理・社会的」アプローチを用いる。したがってICFが意図しているのは,1つの統合を成し遂げ,それによって生物学的,個人的,社会的観点における,健康に関する異なる観点の首尾一貫した見方を提供することである17)。
ICFは人間の生活機能と障害の分類である。ICFは健康領域と健康関連領域とを系統的にグループ化している。各構成要素内では,種々の領域がさらに共通の特性(例えば,起源,タイプ,類似性)別にグループ化され,意味ある形で順序づけられている。分類は,一連の原則に立って組織されている(付録1参照)。これらの原則は,レベル間の相互関連性と分類の階層性(複数のレベルの組合わせ)に関連している。しかしICFのいくつかの項目では,序列も階層構造もなく,ある枝の同等な一員として配列されていることもある。
(1)ICFは健康領域と健康関連領域に関する標準的な操作上の定義を提供するが,この定義は一般用語としての健康の定義とは異なるものである。これらの定義は各領域の本質的な属性(例:性質,特性,関係)を示し,各領域について「含まれるもの」と「除かれるもの」についての情報を含んでいる。その定義は一般的に用いられる評価のための標準点(anchor points)を含むため,アンケートに転用することが可能である。逆にいえば,既存の評価表の結果をICFの用語でコード化することが可能である。例えば,「視覚機能」は両眼および単眼の双方で,さまざまな距離から,形と輪郭を感じる機能として定義されている。そのため,視覚の困難さはこれらのさまざまな要素に関連づけて,軽度,中等度,重度,完全喪失の段階にコード化できる。
(3)ICFのカテゴリーは階層構造となっている。したがって,より広いカテゴリー が,親カテゴリーよりも細かい多数の小カテゴリーを含むように定義されている(例えば,参加と活動の第4章の運動・移動は,立位,座位,歩行,物を運ぶことなどについて別々のカテゴリーを含んでいる)。短縮(簡略)版は第2レベルまでであり,完全(詳細)版は第4レベルにまでおよぶ。短縮版と完全版のコードは対応しており,短縮版には完全版からの要約が可能である。
(4)どんな個人でも各レベルにおいて,コードが複数になる可能性がある。それら は相互に独立の場合もあり,相互に関連する場合もある。
(6)心身機能・構造の第一評価点,活動と参加の実行状況と能力の評価点,環境因 子の第一評価点,これらはすべて,それぞれの構成要素における問題の程度を表す。
(7)ICFで分類されたこれらすべての構成要素(心身機能,身体構造,活動と参加,環境因子)は共通スケールを用いて量的に示される。問題があるということは,その構成概念に応じて,機能障害(構造障害を含む),活動制限,参加制約あるいは阻害因子かもしれない。該当する分類領域について,下記の括弧内に示した適切な評価用語を選ぶ必要がある(xxxは第2レベルの領域の数字を表す)。ここに示した数量的なスケールを普遍的に用いることが可能になるためには,研究を重ねて評価の手順が開発される必要がある。ここに示した大まかなパーセント表示は,較正(キャリブレーション,訳注:測定器などの正確さを保障するために,感度などの調整を行うこと)された評価器具やその他の評価基準によって,機能障害,能力の制限,実行状況における問題,および阻害因子を数量的に判定できる場合のためのものである。ちなみに,「問題なし」または「完全な問題」とされた場合でも,5%までの誤差はあるとみてよい。「中等度の問題」の程度は通常「完全な問題」の半分までである。パーセント表示は,関係する集団の標準値のパーセンタイル(百分位数,訳注:大きさ順に並べた集団の,例えば30パーセント目にある個体の示す数値を30パーセンタイルと呼ぶ)を参照して,それぞれの領域で較正されるべきである。
(9)さまざまな利用者にとっては,各項目をコード化する際に別の種類の情報を付 け加えることが適切であり有益であろう。有益と思われる付加的評価点は多種多様である。表3には,各構成要素についての評価点の詳細と,開発予定の付加的な評価点の案とが示されている。
(10)健康領域と健康関連領域はある瞬間について(例えば,スナップ写真のように)記述される。しかし,多数の時点において使用することで経過の軌跡を示すことができる。
(11)ICFにおいては,ある人の健康状況と健康関連状況の記述は,分類の2つの部門にわたる多数のコードを使って行われる。このようにして,一人あたりのコードの最大の数は一桁レベルでは34(心身機能8,身体構造8,実行状況9,能力9)であり,2桁レベルではコードの全数は362である。より詳細なレベルにおいてはこれらのコードの数は1424にまでなる。しかしICFを実際に適用する場合には,あるケースを第2レベル(3桁)の正確さで表現するためには,3〜18個のコードが適当であろう。一般的に,より詳細な4桁レベルの分類は専門的なサービス(例:リハビリテーションの効果,老年医学)において使用される。一方,第2レベルの分類は調査や臨床効果の評価のために用いることができる。
更に詳しいコード化のガイドラインは付録2に記載されている。利用者は,本分類の使用にあたってはWHOと協力センターを通じて所定の研修を受講することが,強く推奨される。
例;d5101._2は,全身入浴に中等度の困難がある。これは福祉用具の使用または人的支援がない場合に中等度の活動制限があることを意味する。
共通評価点であり,阻害因子と促進因子とのそれぞれの程度を示す,否定的スケールと肯定的スケールとからなる。
2.加盟国に対し,ICFを研究,サーベイランスおよび報告の上で,各国の事情を考慮し,特に将来の改定を念頭におきつつ適切な方法で用いることを勧告し,
6) 同じ疾患をもつ2人の人が,異なった生活機能の水準にあることがありうるし,逆に同じ生活機能レベルにある2人の人が必ずしも同じ健康状態にあるとは限らない。したがって,組み合わせて使用することによって医療の目的で使う時のデータの質が向上する。この目的の場合には通常の診断手順を省略すべきでない。その他の目的のためには,ICFを単独で使用してよい。
12) ICIDHの1980年版では,器官レベルという言葉が使われていたが,「器官」の定義は明瞭ではない。目と耳は伝統的には器官と考えられているが,その境界を定義することは困難であり,同じことが四肢や内臓についても当てはまる。身体の中に独立した部位や単位があるかのような,「器官」別の考え方の代わりに,ICFでは「身体構造」の用語を用いる。
13) したがって,ICFの完全版を用いてコード化された機能障害は,他者または本人により直接の観察あるいは観察からの推測により,発見あるいは認めうるものでなくてはならない。
14) 参加の定義には関与の概念が含まれている。「関与」の定義については,ある生活・人生分野に加わること,含まれること,あるいは参与することであり,また受け入れられること,あるいは必要な資源を利用できることである,などのさまざまな提案がなされている。表2の一括表の中で,参加の唯一可能な指標は,実行状況についてコード化することである。このことは,参加が自動的に実行状況に等しいということを意味しているものではない。関与の概念はまた,関与の主観的な経験(「属している」という意識)とは区別されるべきである。関与を別にコード化したい利用者は,付録2のコード化のガイドラインを参照されたい。
15) ICFは,ICIDHの1980年版とは生活機能と障害の諸次元間の相互作用の描写において,本質的に異なっている。どんな図式であっても不十分なところはあるだろうこと,また多次元のモデルにおいては相互関係の複雑さのために誤解が生じがちであることに注意しておかなくてはならない。このモデルは,多くの相互関係を図示するために描かれている。この過程におけるこれ以外の重要な焦点概念を示す図も確かに可能である。異なる構成要素や構成概念間の相互作用の解釈もまた,さまざまに異なるものになりうる(例えば,環境因子の心身機能への影響は,参加への影響とは確かに異なるであろう)。
16) ここでの「モデル」という用語は,既出の節でのこの用語の使用法とは異なり,構成概念またはパラダイムのことを意味する。

 

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